2025年4月から6月にかけて、兵庫県姫路市のアーティスト・イン・レジデンス「L-AIR」に参加していました。2か月にわたる滞在制作を経て、最終展示「L-AIR 2025 S1 ARTIST FINAL EXHIBITION」が無事に終了しました。
ひとまず、展示の概要を記録として残しておきます。
■ L-AIR 2025 S1 ARTIST FINAL EXHIBITION
会期:2025年6月1日(日)~2025年6月30日(月)
時間:10:00~17:00(※6月1日のみ12:00開館)
閉館日:日曜日(※オープニングデイを除く)
会場:エルエアアートストレージ
所在地:兵庫県姫路市花田町高木77

わたしは今回、ウェットブルーという、いわゆる「革になる直前の革」を素材にした立体的な触れる絵画作品3点と、5連作の平面作品を展示しました。ウェットブルーは普段あまり流通しない素材で、色々とテストした上で、水を含んだ状態で成形し、乾かすことで定着させました。

今回の作品では、観覧者が実際に手で触れられることを前提としています。
“関わる”ことを通して生まれる感覚に重きを置きたいと思いました。アートが「わかる/わからない」の二元軸から離れ、触れた人の記憶や感情に静かに寄り添うような存在であってほしい、という気持ちを込めています。
一緒に招聘されたAnnalieさん(以下、アナ)は、姫路のタンナーから提供された革を使って、ジャケットやスカートなどの衣服作品を制作。江戸時代にオランダと姫路の間で流通していた金唐革をヒントに、現代的な柄やパターンを構築していました。

立体的なフォルムは馬の鞍からの着想によるもので、抽象的な形からシルエットを起こしていく過程も印象的でした。こうやってイメージ作るんだな、って間近でデザイナーの仕事を見られる機会なんてなかったので、とても新鮮。
ちなみに展示を終えた今も、ウェットブルーという素材への興味は続いています。今後は連作として継続的に取り組んでいきたいと考えています。
東京に戻ってから、さっそく小笠原染革所さんに連絡をとり、ウェットブルーを購入しました。今はまだ袋に入ったまま、部屋のベランダ近くに置いてあります。
このnoteを書き終えたら、少し広げて触ってみようと思っています。どんな感触だったか、どこまで戻るのか、乾き具合はどうかとか……、素材の声をまた聞きにいくような気持ちです。製作中って基本的には孤独だと思うんですけど、不思議とこの素材はマンツーマンみがあって、夜中に1人で作業してると怖くなってくるくらい「生き物と何かしてる」かんじがしていました。

もともとわたしは、アニミズム的な価値観を大切にしてきました。
動物だけでなく、植物や物にも生命のようなものが宿っているというイメージを強く持っています。おばあちゃん子だったのも理由としてありそうですが。この世界は、そうした“いきもの”たちが混ざり合っていい感じに存在している、という考え方です。

今回の制作を通じて、その視点を別の角度から見直すきっかけをもらったようです。
一緒に滞在していたアナに「いきもの」という言葉の価値観について話したとき、お互いにとって発見がありました。
「人も、動物も、命があれば“いきもの”でしょ?」という一括りにする日本語があることが、彼女にとってはとても新鮮だったようで、そこからたくさんの会話が生まれました。

こうした対話や実感を経て、自分のコンセプトが以前よりも明確に、深く定着してきた感覚があります。
今回の経験はまた次の作品にもつながっていく予感がしています。
これからも続けていきますので、よかったら見守っていてください。
コメント