2025年4月7日、姫路に到着しました。
▶︎ レザーの変容に触れるアーティストインレジデンス「L-AIR」に参加してきます
まず目に入ったのは、想像をはるかに超える量の革でした。とにかく種類がすごい。また工場の中では、人の感覚によって絶妙に調合された塗料で革をカラーリングする様子も見せてもらいました。
その光景は、素材というよりも、なにかすでに完成された表面のようにも見え、強い存在感を放ちます。

それでそのときふと、「塗料でペイントせず、革だけで絵を描いてみたい」と思ったんですね……。
けれど、そこからが思うようにいきませんでした。
カットしたり、編んだり、組み合わせたり……、クラフト的な方法で何か形にできないかと試みましたが、どうしても“おばちゃんの手芸”になってしまうわけです。技術です。
このときのテストピースの出来栄えは、誰かと共有せずには到底心がおさまらないものでした。なので、同じくレジデンスに参加しているオランダ人のデザイナーの子に見せましたが、ひとしきり二人で笑ったあと、もう誰にも見せまいと固く誓いました。
革の扱いには確かな技術と経験が必要だということを、改めて思い知らされたのです。初めての素材を前にして、わたしはしばらくのあいだ手が止まり、途方に暮れていました。自分は器用だと思っていたのに。

そんな状態をつい昨日抜け出したのですが、きっかけは紙にアクリルでラフを描いていたときのこと。普通に「描くのって楽しいなあ」と思ったんですw
ごく単純な感覚ですが、同時に「革に描いてみたいな」と思いました。自分の言語である絵画に素直に立ち戻った瞬間でした。
そこからようやく、姫路という土地に根付いた伝統技術である「白なめし」に目が向きました。
白なめしは、薬品を一切使わず、塩と菜種油だけで仕上げられた革です。
動物本来の肌の色が残るその表面は、どこか呼吸をしているようで、見ていると不思議と静かな気持ちになります。白く、やわらかく、無垢。描くための余白として、これ以上ない素材だと感じました。
そしてようやく、結局は描くことがしたいのだな、と、自分の中で言葉になりました。
手を動かして、絵の中で考えるのが原点であるな、と……。
はじめての素材に振り回されていたところから、ようやく自分の立ち位置に戻ってこられた気がしています。

次は、白なめしが行われる川に行ってみる予定です。
素材の背景に流れる風景を見ながら、そこから描くモチーフを探してみたいと思っています。
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