『トータル・リコール』(1990)ネタバレ|エンディングの真相と伏線を考察

映画『トータル・リコール』(1990)ネタバレ解説|「夢と現実の境界」がもたらす異色のSFアクション

アーノルド・シュワルツェネッガー主演で1990年に公開された映画『トータル・リコール』。虚構と現実の境界が曖昧なストーリー展開で、当時のSFファンの心を掴み、今もなお話題を呼ぶ名作です。本作にはエンディングに関する複数の解釈があり、それを知ることで作品をさらに楽しむことができるのも魅力の一つ。本記事では、映画『トータル・リコール』のあらすじネタバレとエンディングの考察を紹介していきます。



映画『トータル・リコール』の概要

出典元:IMDb

ジャンル:SF、サスペンス
公開年:1990年
監督:ポール・バーホーベン
キャスト:アーノルド・シュワルツェネッガー、レイチェル・ティコティン、シャロン・ストーン

『トータル・リコール』は、フィリップ・K・ディックの短編小説『追憶売ります』を原作に、未来の火星や都市を舞台に展開されるアクション映画。原作の主人公は神経質な会計士ですが、映画ではムキムキのシュワルツェネッガーが主人公を演じ、アクション全開の作品に仕上がっています。

あらすじ(ネタバレあり)

物語の舞台は2084年。人類が惑星間を自由に移動できる時代です。主人公のクエイド(アーノルド・シュワルツェネッガー)は、毎晩「火星での戦闘の夢」に悩まされています。火星に行ったこともないはずなのに、なぜか火星での生活に強く惹かれているのです。

ある日、クエイドはリコール社の「記憶旅行」サービスを受けることにします。「火星で悪と戦うスパイ」としての記憶を植え付けてもらうプランを選び、ブルネットの美女を相棒に選びます。しかし、施術が始まると突然暴れ出し、医師はクエイドの脳に「火星にいた」という記憶が残されていることに気付きます。

出典元:IMDb

施術の記憶を消されタクシーに放り出されたクエイドですが、身の危険を感じる事態に陥ります。帰宅後、妻のローリー(シャロン・ストーン)にさえ襲われ、「自分は監視役で、本物の妻ではない」と告げられるのです。

クエイドは謎の男からモニター付きの鞄を受け取ります。モニターに映る男は「ハウザー」と名乗り、クエイドと同じ顔で「自分は火星の独裁者コーヘイゲンを倒すスパイだ」と語り、「謎を解くために火星へ向かえ」と指示します。

クエイドの正体と火星の秘密

出典元:IMDb

火星に向かったクエイドは、荒れ果てたスラムや地球政府の支配に苦しむ人々を目にします。そこで夢で見たブルネットの美女・メリーナと出会い、記憶の一部が現実だったと知ります。反乱分子のリーダー・クアトーとの対面によって火星の真の秘密を知ることになります。

実は、火星には「リアクター」と呼ばれる酸素生成装置があり、独裁者コーヘイゲンはその装置を独占して人々を支配していたのです。火星を救うため、クエイドはリアクターを稼働させる決意をします。

ラストシーン|夢か現実か

出典元:IMDb

コーヘイゲンのもとから脱出し、リアクターを稼働させることに成功したクエイド。火星に酸素が行き渡り、青空が広がる様子を見たクエイドは、「これも夢かもしれない」と呟き、メリーナとキスを交わします。その瞬間、画面がホワイトアウトし物語は幕を閉じます。

エンディング考察|「現実か夢か」二転三転する疑心

『トータル・リコール』のラストシーンは、「すべて夢だったのか」「現実なのか」という解釈が分かれるため、観る人によって捉え方が変わります。リコール社での記憶旅行が始まった瞬間からが夢だと仮定すると、火星での冒険はクエイドが望んでいた「記憶旅行のプラン」そのもので進んでいることになります。

ラストのホワイトアウトも「夢から覚めた瞬間」を示している可能性があります。実際、日本語吹き替え版には「リコール社のマシンから目覚めるクエイド」というエンディングが追加され、彼の冒険が夢だった可能性を感じさせます。

ポール・バーホーベン監督の意図

ポール・バーホーベン監督は、「映画のストーリーはすべてプログラムされた夢で、クエイドは目覚めたが脳が壊れていた」と語っており、全編が虚構だった可能性を示唆しています。もしこれが事実であれば、クエイドは「記憶旅行の夢を見た結果、脳が壊れた」という結末になります。

終わりなき疑問と観客への挑戦

出典元:IMDb

物語が進むたびに「現実か夢か」という疑問を抱かせる『トータル・リコール』は、観客に幾度も揺さぶりをかけます。シュワルツェネッガーのアクションで軽快に進むストーリーですが、複雑に絡み合うテーマが映画の核をなしており、視聴後も「真実とは何か?」を考えさせられるSFの醍醐味が詰まった作品です。

CGではなく特殊効果が主流の時代に制作された本作は、アカデミー賞視覚効果賞を受賞したほどの独特のビジュアルも魅力的。80年代ホラーの要素も盛り込みながら、ポール・バーホーベン監督が描き出した圧倒的な世界観が楽しめる本作。「夢か現実か?」という謎を心に残し、もう一度『トータル・リコール』の魅力を味わってみてはいかがでしょうか。

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