映画『CUBE』解説|密室と極限の恐怖が生む“デストラップホラー”の原点

映画『CUBE』ネタバレあらすじと考察。目的も出口も不明、謎と恐怖が支配する“元祖デストラップ映画”

密室ホラー映画として一世を風靡し、公開から20年以上が経過してもなお多くのファンに愛され続けるカルト作品『CUBE』。無機質で得体の知れない空間と、息詰まる展開で観る者に緊張感を与え続けます。

本記事では、映画『CUBE』のネタバレあらすじと考察に加え、続編の見どころも紹介します。



映画『CUBE』の基本情報

出典元:IMDb

ジャンル:サスペンス・ホラー
公開年:1997年
監督:ヴィンチェンゾ・ナタリ
キャスト:モーリス・ディーン・ウィン、ニコール・デ・ボア、デヴィッド・ヒューレット

ヴィンチェンゾ・ナタリ監督による本作は、わずかな予算ながら、アイデアと演出の巧みさで現在の密室ホラーの礎を築きました。無名キャストとシンプルなセットながらも、極限状況の中で次第に剥き出しになっていく登場人物たちの本性が観る者を圧倒します。

映画『CUBE』のあらすじ(ネタバレあり)

出典元:IMDb

ある日、見知らぬ立方体の部屋で目覚めた5人の男女。警察官クエンティン、数学が得意な女子高生レブン、精神科医ハロウェイ、無気力な青年ワース、脱獄の名人レン。なぜここにいるのかも、脱出方法もわからないまま、彼らは協力して密室からの脱出を試みます。

部屋の壁には扉があり、次の部屋へと進むことができますが、隣室の多くには致命的なトラップが潜んでいます。レンはトラップの作動を確認するために靴を投げ入れる方法を思いつきますが、この方法はすぐに通用しなくなり、彼は強酸トラップにかかって命を落としてしまいます。

恐怖と絶望の中で一行が目にしたのは、部屋ごとに刻まれた「数字」。数学に詳しいレブンは「素数を含む部屋にはトラップが仕掛けられている」と推測し、その理論を基に進むことにします。

新たな仲間と明かされる驚愕の真実

出典元:IMDb

部屋を渡り歩く一行の前に、上から転がり落ちてきた謎の青年カザンが加わります。自閉症のような症状を抱えたカザンは、ほとんど会話もできず、赤い色をひどく怖がります。先導役のクエンティンは、苛立ちとストレスから次第にカザンに冷酷な態度を取るようになり、グループ内には不穏な空気が漂います。

やがて、これまで口を閉ざしていた青年ワースが「自分はこの建物の外壁設計に関わった」と告白します。膨大な数の部屋が積み重なって構成され、出口はひとつだけしかないという事実に、仲間たちはさらなる絶望を抱きます。

殺人が起こり、ついに“正しい部屋”へ

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生き延びるためにギリギリの判断を続けてきた一行は、カザンがトラップの法則「素因数が3つの部屋にはトラップが作動する」と瞬時に計算できることを発見し、脱出への希望を取り戻します。計算能力に優れたカザンの導きで出口へ近づくものの、クエンティンは極限状況で本性をむき出しにし、ハロウェイを突き落として殺害してしまいます。

さらにクエンティンの暴力から逃れたカザン、ワース、レブンの3人は、遂に出口へと続く「正しい部屋」へとたどり着きます。

そして最後に生き残ったのは…

出口への希望が見えたものの、ワースは「外に出たところで生きる理由が見つからない」と吐露し、外への執着を失います。そこへ再び現れたクエンティンがレブンを襲い、彼女の命を奪ってしまいます。ワースは瀕死の状態でクエンティンを押さえ込み、カザンを一人で外の光へ送り出します。

やがて扉の向こうの光の中に消えていくカザン。しかし、その光が彼にとっての救いであるかどうかは、観客の解釈に委ねられる形で幕を閉じます。

映画『CUBE』の真意と“しんどさ”

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本作で特に印象深いのは、登場人物たちが極限状態に追い詰められていく中で、次第に本性を露わにしていく姿です。目的もわからず、敵の姿も見えない中で、追い詰められた彼らは互いに疑心暗鬼に陥ります。

また、救いのない理不尽な死や脱出の見えない展開は観客に重い感情を残します。なぜ彼らがここに閉じ込められたのか、真相が明かされないまま進んでいくストーリーは、一見無意味であるかのように見えます。観終わった後には、何ともいえない喪失感や無力感が残り、多くの人が「しんどい」と感じるポイントとなっているのです。

映画『CUBE』の続編|『CUBE ZERO』が明かす謎

この映画の成功を受けて、『CUBE 2』と『CUBE ZERO』という続編が製作されました。『CUBE 2』はさらなる進化を遂げたCUBEが登場する一方、少々残念な評価もあります。しかし『CUBE ZERO』は時系列を過去に遡り、CUBEの目的や背後の組織について触れられるなど、初代ファンにとっても興味深い要素が描かれています。

映画『CUBE』のまとめ

出典元:IMDb

CUBEの物語要点

  • 見知らぬ密室で目覚めた5人の男女が、生き残りをかけて脱出を目指す
  • 部屋ごとに命を奪うトラップが仕掛けられており、進むごとに本性が露わになる
  • カザンの数学的な才能により出口の位置を特定
  • 最後に出口へ出ることができたのはカザンただ一人

映画『CUBE』は、目的も答えも明かされないまま、密室という絶対的な閉鎖環境の恐怖を描く作品です。理不尽な状況下で本性をむき出しにする人間の姿が、観る者の心に深い余韻を残します。

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