1983年公開の『クリスティーン』は、スティーヴン・キング原作でジョン・カーペンターが監督を務めた隠れた名作。「メンヘラ殺人マシーン」的視点で見ると、なんとも奥深いものがある、映画『クリスティーン』のあらすじやメッセージに迫ります!
映画『クリスティーン』の概要

スティーヴン・キング原作、監督は『遊星からの物体X』で有名なジョン・カーペンター。彼が翌年手がけたこの『クリスティーン』は、1980年代の名作でありながら日本ではわずか2週間で上映を終了しました。物言わぬ車がどれだけ執念深く、人間のように嫉妬に駆られるか。カーペンターが自ら劇中音楽の演奏を担当し、車に「人格」を宿らせた演出が光る一作です。
映画『クリスティーン』の主要キャスト

アーニー / キース・ゴードン
本作の主人公。気弱でいじめられっ子のアーニーは、親友デニスのアドバイスで車を購入。選んだ車「クリスティーン」に夢中になり、やがて彼の性格が狂気じみたものへと変わっていきます。
デニス / ジョン・ストックウェル
アーニーの幼馴染で人気者のスポーツマン。純粋な友情から親友アーニーの変貌に気付き、何とかして彼を助けようとします。
リー / アレクサンドラ・ポール
学園のマドンナ的存在。アーニーも憧れていたが、後に彼女となり、クリスティーンの執拗な嫉妬にさらされることに。
あらすじ(ネタバレあり)

気弱なアーニー、親友の勧めで車を購入
物語は、いじめられっ子のアーニーが親友デニスの勧めで車を買うところから始まります。いかにも古びた「1958年型プリムス・フューリー」に惹かれ、店主が「呪われた車だ」と警告しても、アーニーは気にせずに購入を決意。こうしてアーニーは「クリスティーン」と名付けられた車との運命的な生活を始めます。
修理にのめり込み、変わりゆくアーニー

アーニーは「クリスティーン」を修理するうちに自信を持つようになり、粗暴で傲慢な性格へと変化していきます。学園のマドンナ、リーとも交際を始めるほど大胆になっていくアーニー。これに気付いたデニスは、彼を心配して忠告しますが、アーニーは聞く耳を持たず、「クリスティーン」にますます取り憑かれていきます。
「魔性の車」の嫉妬が生む惨劇

クリスティーンはアーニーを独り占めしようと、妨げになる相手に対し恐ろしい行動を取ります。車内でリーがシートベルトに締め付けられる場面や、アーニーを嘲笑する不良たちを次々と轢き殺していく場面など、その執念深さは「魔性の女」を思わせます。ボロボロに破壊されても自力で修復するクリスティーンの姿に、観る者は背筋が凍るでしょう。
クライマックス:暴走するクリスティーンと悲劇的な結末
アーニーはついにクリスティーンと一心同体になることを決意しますが、デニスとリーは彼を助けるためクリスティーンを破壊する作戦を決行。二人の友情と愛は届くのか?最終的にアーニーはクリスティーンによって命を落とし、スクラップになってもなおエンジンを鳴らし続けるクリスティーンの姿は、観客に底知れない狂気と悲哀を感じさせます。
『クリスティーン』が描く“執着”の物語
「クリスティーン」という車は単なる機械ではなく、愛情と嫉妬の塊のような存在として描かれています。執着や独占欲、そして自らを修復する自己愛は、狂気に似た愛そのもの。車という無機質なものに、まるで人間のような感情を持たせた演出がカーペンターの見事な手腕です。
コメント