映画『ダンシングホームレス』あらすじ解説|路上生活者たちのダンスが語る“生きること”の意味
東京オリンピックの開催を控え、東京の街は美しく改装され、同時にホームレスの姿も少しずつ消えつつあった2020年、3月。そんな中、路上生活者たちが集い、ダンスを通して表現する姿を追ったドキュメンタリー映画『ダンシングホームレス』が公開されました。
映画『ダンシングホームレス』の概要
本作は、ホームレス経験者だけで構成されたダンス集団「新人Hソケリッサ!」を描いたドキュメンタリーです。普段、街中でホームレスを見かけても、彼らがどのような思いで日々を過ごし、どのように生きているかを知る機会はほとんどありません。しかし、この映画はホームレスに“関心がない”人にこそ観てほしい、社会との距離を縮める作品です。
路上生活経験者によるダンス集団の軌跡を追う

映画は、メンバーが路上生活に至った経緯をも包み隠さず語っています。家庭内暴力や病気、挫折などを背景にホームレスになった人々が登場し、「踊れるなら働けるだろう」と思ってしまいがちな視点に一石を投じます。彼らにとって「踊ること」は、社会とつながり、心を保つための唯一の手段なのです。
映画『ダンシングホームレス』の作品情報
- 公開:2020年3月7日
- 監督:三浦渉
- 出演:アオキ裕キ、横内真人、伊藤春夫、小磯松美、平川収一郎、渡邉芳治、西篤近、山下幸治
- 上映時間:99分
- 制作:東京ビデオセンター
映画『ダンシングホームレス』のあらすじ

本作は、夢見たダンサーの道が閉ざされ、ホームレスとなった西篤近さんを中心に描かれます。彼は様々な困難の末、ホームレス生活に至り、絶望の中で出会ったのが「新人Hソケリッサ!」というダンス集団でした。メンバーには、難病により職を失った横内真人さん、家庭から逃げ出しホームレス生活を選んだ小磯松美さんなど、それぞれに異なる物語が背後にあります。
ダンス集団「新人Hソケリッサ!」の成り立ち
「新人Hソケリッサ!」を創設したアオキ裕キさんは、振付師の修行でアメリカを訪れた際、同時多発テロを目の当たりにしました。帰国後、「人に危害を加えない」という唯一のルールのもとでダンス集団を立ち上げます。アオキさんは、社会から排除された人々が生命力を発揮できる唯一の場所としてソケリッサを構築したのです。
“持っている身を使い切る”という表現の意味

映画『ダンシングホームレス』の中で繰り返されるのは、「自分の体を使い切る」という表現です。予告編では、路上生活に追い込まれたメンバーの一人が「最後の逃げ場は死だ」と言いますが、「その前に持っている身を使い切る」という覚悟が響きます。この言葉には、極限まで追い詰められた者からしか出てこない重みがあり、観る者に生きる力を問いかけてきます。
映画『ダンシングホームレス』を観るときに求められる“先入観の捨て方”
ホームレスと聞いて、多くの人は「そのエネルギーをなぜ社会復帰に使わないのか」と考えるかもしれません。しかし、彼らが置かれている現実や苦悩は想像以上であり、簡単に判断できるものではありません。この映画は、ホームレスの姿をただ映し出すのではなく、彼らが必死に見つけた「生きがい」としての表現を探求しています。観客は、ホームレスに対する先入観を捨て、ただ一人の人間としての彼らを見つめ直すきっかけを得ることでしょう。
社会の一員としての彼らを見つめ直すきっかけに

『ダンシングホームレス』は、ホームレスの人々も私たちと同じように悩み、孤独に向き合い、精一杯に自分を表現しようとしていることを伝えています。この映画は、彼らを“排除すべき存在”としてではなく、私たちと同じ社会の一員として見つめ直す契機を与えてくれるはずです。
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